【新連載】美意識を旅する。vol.2 時代を超えて受け継がれる美 〜帝国ホテル 京都と弥栄会館のリノベーション〜
長年インテリアのコーディネートをご依頼いただいているお客様の京都のマンションへ、建具の取替とソファの納品に伺いました。
無事に空間の設えを終え、ほっと一息ついた後、以前から気になっていた「帝国ホテル 京都」へ。
今回は建築や空間デザインを肌で学ぶべく、実際に宿泊してその設えを体感してまいりました。館内のレストラン「弥栄(やさか)」での夕食も含め、時間帯によって表情を変える照明や素材の使われ方など、一日を通して歴史ある空間と静かに向き合う有意義な学びの機会となりました。
歴史的建築を現代に蘇らせた「大林組」の圧倒的なリノベーション 帝国ホテル 京都は、国の登録有形文化財である「弥栄会館(やさかかいかん)」を保存・活用して誕生したホテルです。 元の建物をすべて壊して新しいものを建てるのではなく、歴史的な価値を持つ外観や一部の意匠を残しながら、大林組が高度な技術を用いてリノベーションを手掛けました。素人目にも分かるその建築的な感動は、「古いものをただ残す」のではなく、「歴史の文脈を活かしながら現代の最高峰の快適さを融合させる」という途方もない熱量から来るものだと感じます。
設計者・木村得三郎の意匠と、歴史を繋ぐタイルの物語 弥栄会館のオリジナルを設計したのは、京都の「先斗町歌舞練場」なども手掛けた昭和初期の建築家・木村得三郎です。 今回のホテル館内を歩いていて特に目を惹かれたのが、階数表示などの「サイン(案内板)」のデザインでした。実はこの特徴的なプレートのフォントは、当時の木村得三郎が図面に描いていた数字を忠実に再現して作られたものだそうです。 現代のホテル設計では、建築家が空間だけでなくサインのグラフィックデザインやFF&E(家具・什器・備品)までトータルでディレクションすることが当たり前になってきていますが、時代を超えて「過去の設計者の息遣い」が現代のグラフィックとして受け継がれていることに、深い感銘を受けました。


また、建物を彩る「タイル」にも帝国ホテルならではのストーリーが隠されています。このタイルは現在のINAXの前身となる愛知県常滑市の伊奈製陶が手掛けたもので、巨匠フランク・ロイド・ライトが設計した「旧帝国ホテル東京(通称:ライト館)」でも使われていたという、歴史的な繋がり(リンク)を持っています。 細部にまで宿るこのような美意識の連鎖は、雑誌『Casa BRUTUS』の4月号でも大きく取り上げられ、注目を集めていました。
▼帝国ホテル 京都のブランドストーリーやタイルの歴史について
https://www.imperialhotel.co.jp/kyoto/special/brand-story/01
大人が心底くつろげる、引き算の美学 エントランスでゲストを迎えるのは、樹齢約600年という圧巻のケヤキの一枚板で作られた美しいサイン。空間の要所要所に本物の素材が使われており、プールの重厚な石積みも見事の一言でした。 決して過度な装飾や派手さで目を引くのではなく、全体的に落ち着いたトーンでまとめられた空間は、まさに「大人のための上質な隠れ家」。本質的な美しさを知る人にこそ響く、引き算の美学がそこにはありました。


新築には出せない「リノベーションの価値」 歴史を紡ぎ、新たな命を吹き込むこの素晴らしい空間を体験し、私自身も改めてリノベーションの持つ大きな可能性を感じました。
弊社でも最近はリノベーションのご依頼が増えてきております。ゼロから作り上げる新築の良さも当然ありますが、既存の建物が長い時間をかけて培ってきた「記憶」や「風合い」に寄り添い、そこに新たな価値を付加していくリノベーションには、新築には代えがたい特別な価値があると考えています。
▼弊社の空間づくりのプロセスや考え方については、こちらもご覧ください。
https://konararesort.jp/magazine/process/698/





未来の素晴らしい空間づくりへ向けて 空間が持つ歴史に敬意を払い、確かな美意識を持って次の時代へと繋いでいく。 Konara Resortとしても、今後このような人々の心を打つ素晴らしい宿泊施設や商業施設の設計・施工をより多く手掛けていきたいと強く胸に刻んだ京都滞在でした。
新たにホテルやオーベルジュ、特別な商業施設などのプロジェクトをお考えの経営者様、クライアント様。私たちが持つ技術と美意識で、その場所にしかない「唯一無二の物語」を紡ぐ空間づくりをお手伝いできれば幸いです。






